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あなたはなぜベンチャーが嫌いなのか?

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    シェアーズの株主総会が終わりました。こんな小さな会社でも、準備に2週間かかる。まるまるではないけれど。
    どんなに小さくても、ベンチャーでもきちんと経営しなければならないと肝に銘じている。それには理由がある。

    これまでの日本のベンチャーは暗かった。嫌われ者だった。よくベンチャー税制の問題や、ベンチャーになかなかお金が流れないから、イノベーションが起こらないという話がでるが、問題は制度ではまったくない。問題の本質は品格だ。本音をいえば、日本の伝統的企業に属する人や銀行は、単に、ベンチャーが嫌いなのだ。チャレンジ精神や彼らの保守性などまったく関係ない。生理的にベンチャーが持つオーラを受け付けないのだ。それは、ベンチャー界隈が、品がなく雑だったからだ。そして、その最たる理由は、ベンチャー起業家のパワーの源泉を、自身のコンプレックスやトラウマといったダークサイドに求めたためであり、むしろそれを称揚さえしていた風土にある。貧乏、モテない過去、不細工、アスペ、いじめ、学歴。。理由はなんでも良かった。その精神的克服のために、物理的成功を目指すのが当たり前であり、是とされていた。
    そして、金を出すVCにとってもっとも効率の良い投資は、そのような癒されない心理を的確に見抜き、決して諦めず、石にかじりついてでも、どんなビジネスをやってでも金を儲けて返ってくる(そうでないとアイデンティティクライシスを起こす)起業家に投資することであった。このような投資は覚せい剤のようなものだ。彼らは物理的に成功するまで、そして、成功してもなおシャブ漬けである。最終的に、金か女か法か、モラルハザードを起こして帝国は瓦解する。本当はカウンセリングに行くべき人が起業家となっていた。この環境がベンチャー界隈を暗くし、市民権を得られない最大の理由であった。繰り返すが、官僚も、大企業も、決してイノベーションやチャレンジを避けているのでなく、起業家のモチベーションの源泉にある暗さを(口には出さないが)嫌っているのだ。その潜在意識がベンチャー業界への冷たい仕打ちや政策となっていたのだ。これはLGBTと同じ構造である。市民権を得るためにはまず彼ら自身が精神的にハッピーでなければならないのだ。

    逆に、アメリカ西海岸の起業は明るい。VCが、人に投資する、という言葉の上では日本と同じだがその意味はまったく違う。起業するのは、ベスト&ブライテスト。あまりにも才能と環境と性格に恵まれすぎて、既存の組織に当てはまらないトップ5%が起業する。VCは、起業家の能力と規律と、プロジェクトの革新性に賭ける。投資を受けるのは優秀なビジネスパーソンであって、決して、癒されないトラウマを抱えた病人ではない。

    日本は、今、革新を求められている。ベンチャースピリットを、そして革新を遂行するリーダーシップを求めている。しかし、それは、規律とプライドと豊かさから産まれるものでなくてはならない。ノブレスオブリージユ(持てる者の義務)でなければならない。残念ながら、僕自身はそうなれるような人格者ではない。むしろコンプレックスを癒やしきれない旧世代だ。
    (だからあえてきちんと経営しなければならない)
    しかし、今、マインドクリーンな若手起業家がたくさん出てきている。ベンチャーのエコシステムを根本的に変えるのは、ITでも金でもない。彼らのような新時代の、明るく、才能があり、満たされた起業家なのだ。今、社会の生産性を高める最大の方法は、そのような新しい若者を見つけ出し、教育し、送り出し、きちんと見守ることを社会と市民が一丸となってやることである。いたずらに消費したり、揚げ足をとることはしてはならない。彼らこそ国の宝である。
    そんなことを思いながら、株主総会を終えました。くたくたです。寝ます。


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