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株式投資をする人へ、株主への「誠実さ」をどうみるべきか?

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    JUGEMテーマ:株・投資
    僕は、2005年に「何故か日本人が知らなかった新しい株の本(復刻版は、「ほんとうの株のしくみ」)」を出してから、約10万冊ほど売ってきて、いまでもしつこく“投資家教育”をやっている。

    投資家というと、いまだに金持ちがあまったお金を投機して利殖する、というイメージが強いけれど、もうそろそろすべての市民が投資家でもなければならないと思う。僕たちはいやでも資本主義社会に住んでいて、資本主義とは、要するに「お金が投票権」の社会である。(ちなみに、民主主義とは、「投票で決める」社会のことだ)
    市民であることの意味が、社会参画にあるならば、このお金という投票権を、社会の価値創造に向けて流す行為である投資というのは、もはや「市民の義務」とまでいえる。

    通常、お金との関係には、5つのステップがあり、それは「1.使う、2.稼ぐ、3.貯める、4.殖やす、5.流す」というものだ。そのうち、日本の市民層は、ほとんどの人が、「3.貯める」までしかやってこなかった。あとはその貯まったお金を、財務省と金融庁から、都銀→地銀→第二地銀・信金→企業へと流して産業の育成の方向を決めてきた。これは市民社会でない。立派な封建社会である。そうであるからこそ、お金の教育は一般庶民へはタブーとされ、あたかもお年玉を親が預かるといって巻き上げるがごとく、市民の役割は郵貯に納めるまでだった。もちろんサラリーマンの給料は源泉徴収までで、あとのことは知らない。増税が起こっても暴動が起きない。それは市民の社会参画意識と主体性がないからだ。なんとお上に従順な国だ。

    そんな話はさておいて、「じゃあ、いっちょ投資をしてみよう!」と思っていただくわけだが、投資先の選定には3つのポイントがある。それは、「戦略性」「現実性」「誠実性」である。

    「戦略性」とは時代のすすむ方向と、企業のもっているコアな価値とを重ねて紡ぐ道のことであり、「現実性」とは「なんぼキャッシュが儲かるねん?」という話だ。よく、投資の素人は会社の売上や利益、つまり損益(P/L)をみて、次に資産や負債(B/S)、最後に、キャシュフロー(C/F)を見るけど、プロはまったく逆の順に見る。つまり、キャッシュフロー→バランスシート→P/Lの順だ。キャッシュこは現実(リアル)であり、利益は「(経営者や証券会社が)創る」ものだと知っているからだ。

    さて、ここまでは一般的な企業分析論なので、ぜひ拙書「企業分析力養成講座」を読んで復習してください。

    しかし、投資でもっとも大事なことは、「誠実性」である。の企業は、事業(製品)において、経営において、そして株主に対して「誠実か?」それだけをみることだ。

    投資の本質は、人と人との関係と変わらない。つまり人類の最大の武器は、信用である。
    しかし、投資のメディアは、お金だし、お金というメディアの本質は、それが数字であることで「摩擦がゼロ」だということだ。お金という完全匿名のメディアを使う時、僕たちは相手を気にする必要がない。(だれだってハンバーガーを100円で買う時に気を使う人はないだろう)
    投資がお金をメディアとすることから、どうしても僕たちは信頼関係や誠実さ、といった言語化しにくい大切なことよりも、財務指標を重視してしまう。これが間違いのもとである。価値とは本来、言語化(数値化)できないもののことだ。

    では、企業の誠実性をみるには何をみればいいのか?
    レオスキャピタルのファンドマネジャー藤野さんは、誠実さの指標として
    1)会社のホームページの社長挨拶文に「私」ないし「私たち」という主語が使われている
    2)会社のホームページで、社長も役員もすべて写真付きで紹介をされている

    を挙げている。これらの会社のリターンは、実際、平均よりはるかに高い。

    ほかにも誠実さを確認する指標はある。
    一番重要なのは資本政策、とくに増資(あたらしく株を発行すること)の姿勢をみることだ。

    日本の上場企業が増資するとまず間違いなく株価が下がる。それは株数が増えることによって、既存の株主の取り分が減ることが多いからだ。本来ならば、お金を調達してそれを成長原資として、もっとうまく運用して価値を高めなければならないのだが、そうできていないからこそ株価は下がる。成長のためよりも金がなくなって困ったら増資するからだ。
    まずは、成長目的であること、その戦略性と現実性を確認しよう。

    あるいは、丁寧な資本政策を考えて実行する会社に投資することを考えてみよう。
    たとえば、アメリカでは標準だが、日本でも最近、ライツ・オファリングという新しい方法で資金調達することが増えてきた。

    これは、新しくお金を出してくれる人も大事だけど、これまで株主として会社を支えてくれた人たちを無視して新株を発行するのはよくないよね、という思想でできている。
    しくみは簡単だ。まず、これまでの株主全員に対して、新しく発行する株を買う権利(ライツ)をタダで渡す。これまでの株主は、この権利を使ってあたらしい増資に応じて株を買ってもいいし、この権利(ライツ)自身を売ることもできる。新しい株主は、売りだされたライツを買って、あたらしい増資に応じるというわけだ。つまりこのライツは株を買うための整理券みたいなもので、その整理券は、古い株主に渡されるしくみになっているのだ。
    こうすることで、これまで経営にコミットしてきた株主との関係を大事にする姿勢を示すことができる。共感や信用の蓄積を大事にする新しい考え方である。ちなみに2014年にはいってこのライツ・オファリングを行った会社はまだ3社だけである。とても地味だ。単に増資するだけでなく、七面倒な手続きを経てこのような資金調達方法を選択するのは、理解を得ることも含めて大変なことだ。またもっと突っ込んでいえば、このライツ・オファリングの中でも証券会社がすべて引き受けてくるコミットメント型(要するに家賃保証みたいなもの)と、自分で集められるだけ集めるノンコミットメント型がある。証券会社からいえばコミットメント型が手数料(スプレット)が取れるので有利なのだが、ノンコミットメント型を選ぶ会社は余計なコストを省くことができ、その分株主に還元できる。ローコストのソーシャルファンディングも増え、公募増資のようなお金のかかる資金調達方法は減ってゆくべきかもしれない。

    僕たちはたしかに資本主義な世界に生きているけれど、本当はもっと丁寧に生きてゆきたいと思っている。
    投資はカネさえだせばいいというものもない。企業も配当を払えばいいというわけにもいかなくなる。
    カネとカネ、マネーtoマネーの関係はますます減ってゆくだろう。理解と共感と信用こそが21世紀の通貨となるだろう。
    お金はたしかにエネルギーである。ただしそれはアミノ酸だ。お金でお金を増やす、とは多くの人が持っている投資に対する誤解である。お金もアミノ酸と同様、それが知識や情報、想いやコミットメントと結びついたときに始めて価値を産むのである。











     

    コメント
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    • 2014/05/08 6:11 PM
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