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攻殻機動隊 〜ソリッド・ステート・ソサエティは本当に荒唐無稽な幻想か?〜

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    攻殻機動隊は、日本のアニメの中でも有数の人気を誇っており、マトリックスの監督が大きな影響を受けるなど世界的な評価も高い。

    現在、全国劇場で放映されている「攻殻機動隊 Solid State Society 3D」は、当初、単館上映だったが、現在は上映期間も伸び、また地方各地で放映されるようになっている。このGW、新宿バルト9はいつも満席だ。

    攻殻の面白さ・人気の背景には、「どうやら遠からず起こりそうなネット社会の近未来」を明確に描き出していることがある。

    今回のSolid State Societyも、(ネタばれになるが、)少子高齢化社会において、社会生産性の低下をどう解決するかというアイデア(システム)が面白い。

    このSolid State Societyとは、端的に言うと、虐待されている6歳以下の子供達を抽出・誘拐し、貴腐老人とよばれる身寄りなくネットにつながったまま介護を受け続ける孤独な高齢者の養子とすることを自動的に行う社会システムである。

    高齢者の遺産を養子に相続させ資金を還流することで、子供にとっては成長のチャンスを得、老人にとっては自らの存在意義を見出すという双方のメリットを実現している。

    実際、わが国のドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)や児童虐待の比率は年々急増しており(その多くは経済的理由によるもの)、一方で孤独な死を迎える資産を持った老人も増えている。この両者の満足を一度に解決するシステムの仮説として面白い。

    ちなみにこの原作ができたのは、2006年だから今から5年も前の話であり、少子高齢化が今ほど危機的に叫ばれていた状態ではなかった。

    僕は以前、似たようなしくみで「孫ファンド、ひ孫ファンド」というものを構想し、twitterでつぶやいた。
    これは、子供が生まれる前にあらかじめファンドを作って、家族に子供が生まれたら自動的にそのファンドから養育費を捻出する仕組みである。このファンドがあることによって現役世帯は子育て費用を確保できることがあらかじめわかるので、安心して子供をつくることができ、年配世帯は、資金の拠出を確約する一方で、子供達が結婚し、孫、ひ孫を生んでくれることを期待できるようになる。60代以降が資産の八割を持つこの国では、世代間所得移転を丁寧に設計する必要がある。相続税控除を絡めてもいいだろう。

    いずれによせ、高齢者・現役生産世代・子供たち、皆にとって一挙両得なこのような社会システムを考案することで、マクロ的な構造改革を目指すべき段階にきていることは間違いない。

    僕がすごいと思うのは、こういったドラスティックでかつ実際的なアイデアが、「アニメ」という政治・政策の本流とはいえないところから出てくることだ。

    その一方で、お偉方は、アニメ産業を「娯楽・映像コンテンツ」という角度からしか捉えていない。昨今のアニメの表現規制もそうだ。もちろん問題もある。だがそれはこの産業のもつ影響力と裾野の広がりと捉えることもできる。

    アニメはもはや単なる映像ではない。その産業の深遠に眠る「クリエイティビティの源泉」を掘り出し、社会や産業に適用することで新しい可能性を見出すことが可能なのだ。

    現在、攻殻機動隊を製作するプロダクションIG(上場名は、親会社IGポート)の時価総額はわずか25億であり、ディズニーの時価総額1兆円の400分の1である。情けない話である。僕達の世代ににできることは、この基幹産業となる可能性のある分野を積極的に支援し、ライツを中心に現在の収益モデルを進化させることなのだ。

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