calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>

categories

archives

山口揚平の書籍一覧

Facebookを公開しています

金持ちだけど不幸な日本人へ 〜経済と幸福の関係〜

0


    世間ではなんとかして景気を盛り上げようとしているが、果たして経済と幸福は比例するかというとそういうわけでもなさそうだ。

    この図は、縦軸が経済力(一人当たりGDP)、横軸に幸福度(10万人あたり自殺者数)を示したもので先進20カ国の位置づけを示してみたもの。

    過去50年の各国はこちらで見れるよ



    別に自殺が少ないから、即、幸福というわけでもないけれど、「あなた幸福ですか?」みたいな変なアンケート調査よりは説得力があるかな、と思って作成してもらった。柳沢くん@Mckinsey、ありがとう!

    図をみるとわかるように、メキシコやブラジルは、お金はないが自殺も少ない「貧乏だけど幸せ」な国。となりのインドや中国は、う〜ん、インドは瞑想とかやっているから幸せなのか・・・。あと、ヨーロッパの多くの国は、お金もあり自殺も少ないいわゆる「幸せなお金持ち」ということになる。

    ところが日本は、お金はあるが自殺も多い「不幸なお金持ち」である。実際、日本の自殺者は今年も年間3万人を超えていて、他の国と比較してもとても多い。

    今の日本には閉塞感が漂っている。今まで日本がお金持ちであったのは、外向けの製品を労働者としてあくせく働いて、せっせと作って売ってきたためだけれど、アメリカの消費が崩れるとそれが売れなくなってしまった。

    では今後の日本はどうなるの?

    僕は、日本の未来を「富の創造(産業構造の変革)」、「富の分配(社会福祉構造の改革)」の達成度をもとに三つのシナリオで考えてみた。



    まず最初は、産業構造の変革は進まないで経済はじり貧、社会福祉構造も改革されず、地盤沈下する社会の割れ目に落ちてゆく人(自殺者)がますます増えるという最悪のシナリオ。「不幸な貧乏人」のポジションだ。(矢印 棒府のリーダーシップが働かず、既得権益者がかたくなに今の立場を守るとするとこうなる。でも最後には皆不幸になるのでそのあたり、考えて欲しい。いわゆる戦後55年体制とよばれる統制主義を民主主義が打ち破れるか、が問われている。

    二つ目のシナリオは、輸出型の企業ががんばってマイナ−チェンジ、つまり輸出主体だけどその矛先をアジアを中心に分散させるとともに、国内では社会福祉構造の変革、特に医療制度と雇用制度の変革を成し遂げ、欧米型の多層社会モデルを実現するというシナリオだ(矢印◆法

    欧米と日本の幸福度の違いは、人生への期待が少ないことにあると思う。欧米では社会はより階層化され、各人も自分が社会のどの層にいるかを認識し、その中で豊かに生きている。だが日本は皆、中流意識を持っており、社会がまだ多層化されていない。そのため勝ち組・負け組という形で格差が開くとひどい劣等感にさいなまれ幸福が遠ざかる。幸福とは外的環境にあるのではなく、心の期待と実態のギャップにあるのだから、社会が多層化されていた方がより幸福度は増すのだ。

    なんて難しそうに言ってみたけど、単刀直入に言えば、「あんたらその程度の見識や実力で、なに偉そうなこと言っているの?」ということ。世界の実力や賃金ギャップに比較すれば、日本人はみんな甘ちゃんなんだから、もっと貧乏(かといって不幸ではないよ)で当然!という事実を受け入れることだ。怒られそうだけど、やっぱり世界に出ると、日本人って甘いよな、と思う(自分を含めてね)。

    最後は、社会福祉構造とともに、産業構造の変革も成し遂げ、さらに豊かになるという道もある(矢印)。このシナリオは無理かな。今の日本が財界・政界・学界が三位一体となって、足並みをそろえ、国際競争力の高い産業を創り上げるとともにそれにあわせた新しい社会システムを構築するとは考えにくいからだ。また残念ながらそのようなリーダーシップや統合的な視野を持ち合わせた人物や組織も見あたらない。

    残念なのは、心から尊敬できる年配の人になかなか出会わないこと、視野が狭かったり、自分の立場を守ることに躍起になっていたり・・・、仕方ないことかもしれないけれど、昔は、どこかで大人ってすごいな、と思っていた。

    さて、3つのシナリオをまとめると、以下の通りとなります。

    富の分配(×) 富の創造(×) → ポジション
    富の分配(○) 富の創造(×) → ポジション
    富の分配(○) 富の創造(○) → ポジション

    富の創造(産業構造改革)はこのブログでもさんざん書いているが、簡単ではないです。でも富の分配(社会構造)は意外と簡単。これは雇用と医療が中心となる。

    雇用については、働いてもお金がない若者(ワーキング・プア)と、あまり仕事をしていないリッチな年配正社員(ノンワーキング・リッチ)が多数いることが問題で、その理由は正社員の雇用維持がかたくなに守られているからにほかならない。だから、正社員の「退出障壁」を下げれば雇用の流動性は高まり、平準化することになるだろう。でも今の労働法では難しいかも。

    医療については、とっくに国民皆保険は破綻しており、解決法としては全体の医療コストを下げること。その単純な方法としては、医者にかからない人に対して還元すればいい。加えて、医者にかかった費用はまず患者が全額負担し、その後に健康保険組合にキャッシュバックを申請する、という方式にすれば、患者のコスト意識も芽生え、あっという間に全体の医療コストは下がってしまうだろう。また“未病”領域にあたる漢方などの代替医療の保険導入が進めば、医者にかかる費用はもっと安くなるんだけどな。

    今の日本は、閉塞感のあまり、皆、どう分け前を取るかという「分配論」に終始して、なんだかとてもエゴイスティックに見える。

    僕は、アメリカ型の派手なキャピタリズムも好きではないけれど、単純に国民の幸福度を上げるために、医療制度でも雇用制度でも、もう少し市場原理を導入してみたらどうだろうか?きっと一瞬で社会の明るさが変わるでしょう。


    コメント
    初めてコメントします

    素朴な疑問というか感想です。

    日本の自殺の数字は他国と比べるのというのは話題になることが多いと思いますが
    日本の「生き恥さらすくらいなら腹切る」文化や、
    欧米のカソリックでは、自殺をすると天国に行けないので自殺率が低いというようなものも関係してくるのではないでしょうか。

    各々の文化での「死」というポジションの意味も大いに関係してくるかと思います。
    • ナツ
    • 2009/12/26 12:17 AM
    はい、私もそう思います。
    日本における自殺は、現世での“けじめ”としてポジティブに扱われることが関係していることもあるかもしれません。
    • 山口
    • 2009/12/26 1:04 AM
    そうやって、他国といちいち比較しては「我々日本人は駄目だ」と騒ぎ立てるから、不幸になってるんじゃないでしょうか。

    他国の制度を学ぶことは悪い事じゃないが、偏執狂のように海外の反応を気にする風潮は問題だと思います。
    • ATM
    • 2009/12/28 12:04 PM
    日本は自殺者10万人超えという説もありますね。
    • 2009/12/28 1:17 PM
    イスラム圏が完全に抜け落ちてますね。
    • えぼし
    • 2009/12/28 1:29 PM
     はじめまして。私もブログで、こういった幸せと金銭、日本人の意識とかをよく扱ってますけども、
    今回の記事はかなり読みやすくて共感できました。
     
     自殺率の原因が宗教が機能していない事と、拝金主義が日本人の心にがっちり食い込んでしまい、それがなくなること=不幸と「思い込む」ことが原因ではないかと思います。

     
    • tyokorata
    • 2009/12/28 5:32 PM
    豊かさと幸福の関係について考えてみよう。

    外面の豊かさのみ --- 不幸である
    内面の豊かさのみ --- 幸福である(少なくとも本人はそうであろう)

    個人主義が確立している欧米諸国では一点の曇りもなくこう言える。個人主義(主観主義)の観点から言えば、「幸福」は相対的な価値に過ぎないからだ。本人の外にあるものが他人から見てどれだけ価値のあるものであれ、本人がそう評価しない限り無価値に等しい。反対に内面さえ充実していれば、ソロモン王の知恵ではないが、幸福はすでに手に入れていることになる。

    ではこの個人主義的な「幸福」を総体に適用した「最大多数の最大幸福」のような価値観を、日本で不満もなくすんなり受け入れることのできる人がどれだけいるだろうか?

    日本人のほとんどは頭でそのことが正しいと理解していても、ハートではどこか釈然としないものを感じるのではないだろうか。それは「幸福」の意味が、日本本来の個を確立しない共同体におけるその価値と異なっているからだ。

    とはいえ、日本人が独自の『幸福』(現代の西洋的な意味の「幸福」とは異なる)を取り戻すには、もう一度鎖国でもしない限り不可能だ。戦後何もかも失った日本人が新たな目標として経済的な成功の一点に邁進してきたときは、気にならなかった日本近代化の宿痾とも言える和魂洋才の矛盾が、また亡霊のようにカムバックしてきて、今や日本人は外面的な豊かさと内面的な豊かさの軽重さえわからなくなっている。戦前は一部の知識人(夏目漱石の主人公たちのように)のみを苦しめていた矛盾に、国民の多くがとり憑かれるようになった現状がある。

    それが、80年代〜90年代に世界でも一、二を争う豊かな国になりながら、目標を失った日本が21世紀に入り経済的にも精神的にも急激に転落を始めた原因ではないのか。
    • kei
    • 2010/01/05 2:01 PM
    ”潔さ”や”全ては無に帰る”のような、日本人の伝統的な想念が、この自殺率・自殺者数にも表れているような気がしてなりません。単なる”生に対する絶望”だけではなく、”死”に対する積極的な評価を、現代の伝統の薄まった日本人でも、何処か継承しているような、それ故に様々な施策をしても、なかなか、この現状を変えられない要因になっていると思います。
    伝統的な想念の力の強さを感じさせる一つの証拠だと思います。

    医療費の患者の全額前払い論については、コスト論としては理解できますが、”病気”の辛さを知る者の一人として、心情的には全く容認できません。
    • ヒロ
    • 2010/01/14 4:34 PM
    追記で申し訳ありませんが、自殺率・自殺者の部分を、犯罪率や重刑犯に相当する犯罪に遭う確率の表で表した場合は、現在でも「お金持ちで幸せな日本」になってしまいそうな気がします。生活上の相対(総体)的な安心感というものも、比較論の上ではかなり重要な項目ともいえるのではないでしょうか。
    • ヒロ
    • 2010/01/14 5:17 PM
    皆さん、コメントありがとうございます。以下、レスをさせて頂きます。

    KEIさん

    日本は、物理的な個を確立せず、共同体を一つの生命と考えるという認識については、その通りと思いました。

    ヒロさん

    残念ながら、死、潔し、というよりは、現在の自殺の理由のほとんどは経済的なものであり、その意味では残念ながら、格差がもたらす結果にほかならないのが実情です。社会が多層化されておらず、また人口密度も高いため、比較による貧富の差がより大きく認識されるというのも問題かもしれません。

    医療費のキャッシュバックシステムは、イギリスをはじめ、多くの先進国では普通のことです。日本は税金も保険も、行政による“棒引き”の構造になっていますが、これはお上による統制・封建主義の構造そのまま反映しています。自立した市民が、政治・行政を“委託”するという意識が日本国民に芽生えるのはまだまだ先の話になりそうです。


    追伸;

    21世紀は国家の覇権やその国の保持を中心に考えるのでなく、地球主義で考え、その国や地域の独自価値を相互に分かちあうべきと考えます。年金・医療システムはもはや国レベルで考えることではありません。特に、“世界年金”の実現は21世紀の初頭に実現するべき課題だと思います。
    • 山口
    • 2010/01/17 1:10 AM

    集団生活を拒絶し個別主義に走った結果、一人になって苦しくなり自殺を考える。これらは全て自分が悪い。

    《資本主義》において基本は弱肉強食なのに
    戦うことの意味そのものを否定し続けているのだから
    こうなるのは当然の結果だと言えます。

    欲しい物は自分達の力で手に入れる、自分達の力で国を守り政治と企業を育てる、それが《民主主義》です。

    真の平和と自由の実現には、常に民衆の手で巨大権力構造の監視と管理をしなければいけません。
    (権力者相手に情けは無用)
    法律なんて民衆の力で変えていけばよいのです。

    他者や他国と比べて自分達が不幸などと言う考え方は論外。
    下らない理屈を並べる前に現状を変えるべく努力するように仕向けてあげましょう。

    色々個人的な理屈を並べていますが

    スレ主の考え方は正しいと思います。
    ただそれを実行に移すには、徹底した情報公開と、政府が国民と向かい合い信頼を勝ち取ることが必須です。

    圧力団体に官僚の抵抗とか凄まじいですから世論の支えがなければ何一つ実現できません。
    彼らは国民より自分達の利益を最優先にします。

    最近になって少しずつ政治の風向きが変わってきた気配がしますが間に合いますかねぇ・・・。
    毎年、毎年、国の予算があれでは生活不安が先行するのもやむなしかと。
    • 日本人は幸せすぎて弱くなった
    • 2010/12/25 3:58 AM
    これから高齢者と中年男性の自殺率がますます増加していくはず。孤独な老人と親の庇護を失った中年ニートがやばいと思われます。社会とのかかわりを失い強い孤独運に陥ると一気にきます。誰にも人生の地獄のロードがきます。それを耐えられるかです(経験済)。日本はメンタルサポート面での社会基盤がまったく希薄なのが問題だと思います。
    • 性別年齢別をクロスさせると
    • 2011/08/29 11:19 AM
    医療制度と雇用制度に競争原理を持ち込む必要性については全く同感です。私はそれらに加えて、教育制度にも競争原理をある程度持ち込む必要があるとの信念から会社を創業しました。
    場を設けますので、ぜひ山本さんのお話を一度伺いたいです。
    • アツシ
    • 2011/08/30 3:37 PM
    管理者の承認待ちコメントです。
    • -
    • 2013/05/23 3:17 AM
    管理者の承認待ちコメントです。
    • -
    • 2013/10/17 2:50 PM
    コメントする








       
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック
    人間の感情は相手に伝わるものです。感謝すれば感謝され、憎めば憎まれます。心理学ではこれを、「ミラー効果」といいます。まるで鏡に映るように、相手に抱いた感情が自分に返ってくるからです。たとえば、ある部下に「反抗的で嫌なヤツだな」という感情を抱くと、その
    • ビジネス快進撃 メルマガ
    • 2010/03/22 9:32 PM