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親愛なる消費者金融

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    2006年のノーベル平和賞の栄誉は、バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏と同氏が創設したグラミン銀行に贈られた。

    ユヌス氏の功績は、“マイクロファイナンス”の普及にある。

    マイクロファイナンスとは、成長意欲のある貧困層の自活のための小口貸し出し(平均5万円)を行なうもの。金利は、月平均3%(年利20〜25%)程度であり、途上国の闇金融の金利100%よりはるかに低い。

    マイクロファイナンスの素晴らしさは、その“慈善性”と“経済性”の両立にある。

    この世知辛い資本主義社会にあって、世界の人口の70%を占めるといわれる貧困層への融資による社会全体の富の増大に果たす役割は大きい。
    しかしそれだけでなく、このようなチャリティ的要素をビジネスベースでペイさせている点が評価される理由だ。

    では、一般に言われる消費者金融とマイクロファイナンスの違いはどこにあるのか?

    それは、性善説と性悪説の違い。

    マイクロファイナンスでは、人間の経済力と倫理観は異なる、という考えから出発する。実際に貧困層への貸し出しをメインとするグラミン銀行の回収率は95%を超えるという。顧客の95%は自営業を営む女性だ。

    マイクロファイナンスが、長期的視点で投資的行動(例えば、商売道具の購入や運転資本の提供)に対して行なわれる一方で、消費者金融は、短期的視点で消費的活動(例えば、ギャンブル)のための融資を主とする。

    両者の顧客は、「お金がない」という一点では共通するが、その原因が、環境的要因によるものなのか、内的要因(人の考え方)があるかにおいて大きく異なる。

    消費者金融は、「金は、貸付け、とりたててるべきもの」という点に力点をおいており、基本的に“お金にルーズ”な人をターゲットとしている。

    昨今の金融庁の規制強化(貸し出し金利の実質引き下げ)により、わが国の消費者金融各社は、風前のともし火だ。

    既存の消費者金融では、高コスト体質(莫大なTVCMコスト)と低い社会的評価で生き残ることはできないだろう。

    生き残りには、コスト構造だけでなく、金貸しとしての思想的転換が必要である。

    マイクロファイナンスは、社会的な意義も大きく、コストとリスクをうまくマネージする必要があるため、金融のプロとしてもっともチャレンジングな領域であり、世界のエリートが今熱い視線を送っている。


    マイクロファイナンスについて学ぶにつれ、最近、バフェット型投資に、自分が違和感を覚えつつある理由がようやくわかってきた。

    株価を、単なるお金の記号として捉えるトレーディングは別としても、企業の価値創造に賭けるいわゆる“投資”の成果には、二つの側面があると思う。

    一つは、投資先の財務収益、もう一つは、投資先がもたらす社会収益である。

    財務収益(ROI)については、ご存知、DCF法をはじめさまざまな評価指標がある。

    バフェット投資の違和感は、コカ=コーラやフィリップ=モリスといった高い財務収益を達成する企業は、果たして高い社会収益を生んでいるのか?ということ。

    人間の惰性に依存し、財務収益を独占する企業への投資は、金銭面でのメリットは享受できるのだが、そのスタンスに違和感がある。

    一方で、社会全体の富の増大を意味する社会収益(SROI)については、いまだそれを計量するフレームワーク(枠組み)が明確でない。

    社会全体への価値貢献を可視化しうる枠組みができれば、社会価値創造をさらに進める動きが起こるのではないか?と期待する。

    このような動きは、所有という概念を否定するものにつながる。

    ジョージ=ソロスは、著書「社会秩序の崩壊」で「自分だけよければ社会」への警鐘を鳴らしているが、世界(社会)が一つであり、すべての人がつながっているという究極の理解の上では、分離を意味する貨幣の存在はほとんど意味を持たない。

    マイクロファイナンスのような資本主義構造の中でも発展しうるあらたなシステムが、人類全体の富の拡大に寄与してゆくことを信じる。

    P,S しかし、“マイクロ”ファイナンスっていうのも、借りる側からしてみれば失礼な話だな。本人にとっては、500ドルも大金だろうに。

    コメント
    たしか定期的に債務者が一堂に会して、一人一人
    「私は絶対に返済を滞らせません」
    みたいな誓いを立てさせるんでしたよね。

    あの手法、非常に原始的ではありますが、
    効果有りと見ました。
    • 若旦那
    • 2006/12/17 3:01 PM
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